中間ベンダーによるレビューの意義

最近では、私のところにくる翻訳の仕事のかなりの部分が、ソースクライアント→MLV→日本国内の翻訳会社→私という流れになっています。間にMLVが入っても入らなくても、直接の取引先である翻訳会社との仕事のやり方はほとんど変わらないのですが、時々MLVからのフィードバックというのを見せられて、これに合わせてくださいと言われて困ってしまうことがあります。なぜなら、フィードバックに書かれている推奨訳が変な訳だったりするからです。どのように変かというと、これまでにここに書いたような感じのものです。
MLVのレビュアーといっても、特別なスキルがあるとは限りません。日本オフィスのシニアトランスレーターといった肩書きの人ならば、それなりにスキルが高く、レビューにも責任を持てるでしょう。しかし最近では、外部の翻訳者にレビューを委託していることもあるようです。なぜなら、私もそのような仕事を頼まれたことがあるから。日本語へのローカライズ案件であっても、そのMLVの日本オフィスを通さず、MLVの海外オフィスから日本国内の翻訳会社に翻訳作業を委託することも最近は多いようです。MLVとしては、完全に丸投げというわけにもいかないので、レビュアーを探してきてサンプルチェックをさせるわけですね。でも限られた時間でのサンプルチェックで、本当に品質を保証できるのでしょうか?
レビュアーに与えられる時間はせいぜい2〜3時間なので、背景情報などを知る余裕はありません。それでドキュメントの一部だけを読んで、訳が正しいかどうかを判断できるのでしょうか。こちらがあれこれ考えて決めた訳が、「原文にcanがあるのに訳は『できる』になっていない」だの「afterの訳が『〜の後』でない」だのといった理由でエラー扱いされているとがっくりします。推奨訳が明らかな誤訳だったこともあります。
二次ベンダーとしては、一次ベンダーであるMLVが「お客様」なので、「お客様の好み」に合わせるのは当然だし、一度指摘されたエラーを繰り返してペナルティをくらったら大変です。だから二次ベンダーをやっているような翻訳会社は、フィードバックの内容が多少変でもそのまま受け入れるのでしょう。いつも疑問に思っていた、変な訳が流行する理由は、この辺にあるのかもしれません。でも私自身は、理不尽なエラー判定を黙って受け入れるわけにはいかないので、反論の機会があればきっちり反論します。間に入る翻訳会社には手間をとらせて申し訳ないと思いますが。