IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

IT企業はマーケティングコンテンツの日本語ローカライズにどれだけ力を入れているのか?

MicrosoftWindows 11のリリースが10月5日に決定したそうです。あと1か月ちょっと、意外と早いですね。Windows 10のサポート期間中はあわててアップグレードしなくてよいかなと思っていますが。

これがどういうOSなのかを知るには、MSのサイトを見るのがよいと思います。

www.microsoft.com

FAQに「Windows 10と比べてどこが違うのか」という質問への答えがありますが、なんだか抽象的ですね。

Windows 11 は Windows 10 と同じパワーとセキュリティを備えていますが、デザインを刷新し、装いが新たになりました。また、新しいツールやサウンド、アプリが加わりました。細部にまでこだわったデザインです。これらが統合され、お使いの PC に新たなエクスペリエンスをお届けします。

このページはしばらく前からあったと思いますが、ざっと見た感じでは、テキストについてはどこかのベンダーに翻訳を外注して上がってきたものに社内で手を加えたのかと思います。なぜなら文章の仕上がりが雑だから。

Windows 11を標準搭載したモデルはもちろん、Windows 11 の提供が開始されたときに無料でアップグレードできる Windows 10 PC もございます。

少なくとも日本国内の翻訳会社だったら、MSスタイル指定の案件を受注したら全力で半スペチェックするので「Windows 11を標準搭載」や「あなたにぴったりのPC」のような表記が残ったりはしないと思います。

Windows 11 のリリースは、2021年後半を予定しています。ご興味のある方は、それまでの間にご準備を始めて下さい。

「始めて下さい」は、普通は「始めてください」ですよね。

お使いの PC が Windows 11 を動作するために必要な要件を満たしているかどうかは、こちらのチェックアプリでご確認頂くことができます。互換性の確認がとれれば、提供時に無料でアップグレードができます。

「ご確認頂く」も「ご確認いただく」じゃないかなあ。「Windows 11 を動作するために必要な要件」という日本語も、翻訳会社のチェッカーが見逃すだろうか。

MSスタイルなら入っているはずのスペースが抜けている箇所があるかと思えば、妙に間が空いて見える箇所もあります。

Windows 11 を搭載した PC は今年後半に発売される予定です。

「搭載した」と「PC」の間に全角スペースがあるのですが、このWebページを公開するときに誰もチェックしなかったのでしょうか。

Microsoft Edge と新たに用意されたウィジェットで、興味のあるニュースやエンターテイメント情報をすぐに見られます。2 新しくなった Microsoft Store では、使いたいアプリやお気に入りの番組がより簡単に見つかられるようになりました。

「見つかられるように」というタイポもそのままだし。

Windows 11 では、やりたいことに集中できる、落ち着いた雰囲気のクリエイティブなスペースをご用意しています。 スタート メニューを刷新し、連絡を取りあう人々やニュース、ゲーム、コンテンツとつながる新しい方法をご提案。 Windows 11 は、ごく自然に考える、表現する、あるいは創り出す場所となります。

この辺の文章も、「ご提案。」という体言止めに工夫の跡が見られるものの、Appleだったらもっと表現を練るのではないかと思います。私は信者でもなんでもありませんが。

ちなみに英語版です。(https://www.microsoft.com/en-us/windows/windows-11)

Windows 11 provides a calm and creative space where you can pursue your passions through a fresh experience. From a rejuvenated Start menu to new ways to connect to your favorite people, news, games, and content—Windows 11 is the place to think, express, and create in a natural way.

この雰囲気を保ったまま日本語にするのは難しいのでしょうか。最後のin a natural wayをもう少し強調してもよいのではと思います。