最近の雑感

  • 先日、Skypeのサービス障害が発生したというニュースを見ましたが、その中で「Skypeクレジット」という言葉が目を引きました。日本語で「クレジット」というときは信用販売を指すのが一般的だと思いますが、「Skypeクレジット」というのはサービス利用料を事前に支払うことなんですね。言葉の定義が明確に示されていればユーザーが混乱することはないと思いますが、creditという言葉はやっかいです。
  • 私のふだんの仕事では、企業の基幹業務に使用されるソフトウェアの説明書などを扱うことがありますが、その中に時々creditという動詞が出現します。これが「貸方に記入する」と訳されているのを見ると頭を抱えてしまいます。日本語の「貸方」という表現は、複式簿記に関する文章以外では見たことがないのですが、「銀行口座の貸方」っていったい何を指しているのか、訳した人に聞いてみたいものです。その人の通帳には「借方」「貸方」と書いてあるのだろうか。
  • 英英辞典でcreditという動詞の意味を調べると「When a sum of money is credited to an account, the bank adds that sum of money to the total in the account.」(コウビルド米語版英英和辞典)と書かれているように、入金のことですよね。これが航空会社のマイル口座だと、入金ではなくてマイル残高を増やす=マイルを加算することになるので、creditという動詞の訳は臨機応変に決めなければなりません。しかし、誰かが適当に作った用語集でcredit=「貸方」などと定義されていると、「用語集には絶対従う」という方針の下で変な訳が量産されてしまうんだよなあ。
  • SkypeのWebサイト(http://www.skype.com/intl/ja/home/)を見てみたら、「固定電話/携帯電話に通話を発信」というテキストがあったのですが、通話は発信するものでしたっけ。英語のページ(http://www.skype.com/intl/en/home/)では「Call phones and mobiles」と書かれています。このcallという単語もやっかいです。電話交換機やテレフォニーシステムの中の話ならば「呼」や「コール」で済むのですが、エンドユーザー向けの文書では使えません。話したい相手の電話番号をダイヤルして(あるいはGUIの電話帳で選んでクリックして)、呼び出し音が鳴っている間はcallingですが、まだ通じていないから「通話」ではありませんよね。「電話をかける」という表現も、telephone callに限定されそうで使いづらい時があります。英語では一つの単語なのに、日本語では訳し分けが必要で、しかも訳し分けのルールが用語集にも書かれていないことが多い。本当にやっかいです。