引き続き、Cognitive Servicesのページで気になったところを挙げてみます。
Cognitive Services - AI ソリューション向け API | Microsoft Azure
「お客様の Cognitive Services の利用事例を見る」という見出しの下の、VWの事例の概要です。
リアルタイム翻訳を使用して世界中の顧客とのつながりを深める
Volkswagen は Cognitive Services を使用して高品質でリアルタイムの翻訳を提供することで、企業がグローバルな顧客基盤とさらにつながりを深めることができるようにしています。
さて、Volkswagenは何をする会社でしょうか。「翻訳を提供することで」ということは翻訳会社? 「企業がグローバルな顧客基盤とさらにつながりを深めることができるようにしています」ということは、他の企業がグローバルな顧客基盤とのつながりを深めることができるようにお手伝いしているのでしょうか。
英語版を見てみましょう。
Cognitive Services—APIs for AI Solutions | Microsoft Azure
Engaging global customers with real-time translation
Volkswagen uses Cognitive Services for high-quality real-time translations, enabling the company to better engage its global customer base.
「the company」を「企業」と訳してしまうと他社の話になってしまいますが、これって本当に人間の翻訳者が訳した(あるいは人間のレビュアーがレビューした)ものなのでしょうか。同社は大量のドキュメントを世界中の顧客に、40以上の言語でほぼリアルタイムで提供するためにこのサービスを使っているのですが、「翻訳を提供する」とは言いませんよね。
相変わらず、この業界の人たちは「~することで、~できるようにしています」という文型が好きですね。原文のenablingという現在分詞は、結果を表しているのではないでしょうか。つまり同社がこのサービスを使ってしているのは高品質のリアルタイム翻訳で、その結果として世界中の顧客とのengageがしやすくなったということですよね。この2つははっきり区別して訳したほうがよいと思います。
Google翻訳の出力のほうがまともに見えるような気がします。余計な言葉が追加されていないし。
リアルタイム翻訳で世界中の顧客を引き付ける
Volkswagen は Cognitive Services を使用して高品質のリアルタイム翻訳を行い、世界中の顧客ベースとの関係を強化しています。
「リアルタイム翻訳を使用して」より「リアルタイム翻訳で」のほうが引き締まりますよね。好みの問題があるので強制はしませんが。