IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

人名の敬称をどうするか

調べ物をしていたら、このようなページが見つかりました。

www.trados.com

「27万人以上のプロ翻訳者が Trados Studioを選んでいる理由をご確認ください。」というバナー(と呼んでいいんでしたっけ)に続いて、何人かの翻訳者のコメントが掲載されているのですが、人名に付いている敬称がばらばらです。

Trados Studio 2021を初めて使ってみた感想

Nora Diaz 個人翻訳者(英語-スペイン語

Nora Díazはフルタイムの翻訳者であり、またチームリーダーとして翻訳ワークフローのあらゆる局面で日々世界中の顧客に対応しています。彼女はテクノロジーへの関心が高く、生産性向上ツールを常に研究しています。彼女はRWSのベータテスターコミュニティに積極的に参加しており、世界中のトップレベルの翻訳者と交流して、実際に翻訳者として働いている人々のニーズやプログラムの使いやすさについて意見を提供しています。ここでは彼女が Trados Studio 2019のデモを行い、この製品の第一印象について語ります。

Andrew Martin氏

翻訳会社Pantoglotのオーナー

Andrew Martin氏が言語プロフェッショナルにTrados Studioを勧める理由を、こちらのビデオでご確認ください。

Emma Goldsmithさん

個人翻訳者(スペイン語-英語)

Peter Kahlさん

PMK Information Services Ltd.のDirector、Peter Kahl氏

独語-英語、英語-独語

「Trados Studioは、技術翻訳に携わっているすべての人に不可欠なツールです」

Trados Studioが翻訳者にとって重要なツールだとPeter Kahlさんが思う理由を、こちらのビデオでご確認ください。

敬称なし、「さん」付き、「氏」付きと、このページだけで3通りあるのですが、統一はできなかったのでしょうか。Peter Kahlさんに至っては「さん」と「氏」が混在しています。

このような事例紹介の表記に関する指示は、通常の翻訳スタイルガイドにはないことも多く、その場合は常識の範囲内で選ぶことになりますが、やっぱり指示をまとめておいたほうがよいと思います。いくら翻訳メモリが整備されていても、「人名に付ける敬称」の過去の方針を読み取るのは難しいからです。発注元企業が同じでも、場面によって使い分けることもあるでしょう。Tradosのようなビジネス用ソフトウェアならば「氏」が一般的だと思いますが、「購入してくださったお客様」には「様」だし、コンシューマー向けだったら堅苦しさのない「さん」が適切ということもあるでしょう。

本題とは関係ないのですが、「Trados Studio 2021を初めて使ってみた感想」という見出しに続く文章が「ここでは彼女が Trados Studio 2019のデモを行い、この製品の第一印象について語ります。」で締めくくられています。「Trados Studio 2019のデモを行い」になっているのはどういう理由なのでしょうか。英語版では「Here she takes us through a demo of Studio 2021 and gives her first impressions.」なんですよね。