IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

なぜ「武漢肺炎」と呼ばなくなったのか?

もちろん、中国の武漢市に責任があるような意味合いを持たせてはいけないからですが、現在全世界で流行している病気は今現在何と呼ばれているでしょうか。英語圏ではCOVID-19というのが一般的ですね。COVIDはcoronavirus diseaseの略で、19はこれが発見された2019年のことです。これに対応する日本語での表現は「新型コロナウイルス感染症」でしょうか。でも長いので、話し言葉ではもちろん書き言葉でも「新型コロナ」あるいは「コロナ」などと短縮されているようです。

ここで思うのですが、「新型コロナ」と略した時点で、病気のことが忘れられていないでしょうか。病気ではなくウイルスとの戦いになっている。だからウイルスは存在しないだの茶番だのと、訳の分からないことを言い出す人が登場するのではないかと想像しています。ウイルスは目に見えないかもしれませんが、現実に肺炎を起こして熱や呼吸困難で苦しんでいる人はいるわけですよね。

その肺炎の症状が、2019年以前には見られなかったものであり、治療に当たるドクターはCT画像を見て戦慄を覚えたという話も聞いたことがあります。人工呼吸器が必要になるほど悪化すると、肺が元に戻らないケースもあるそうです。いくら死亡数が少ないといっても(それでも感染者の1%を超えているそうですが)、そのようなダメージを受ける感染症には絶対にかかりたくないものですが、今の日本では病床数の少なさを問題視する人が多くても予防の重要性を口にする人が少ないのが非常に不思議です。

だいたい、今のように陽性者が急増することは誰が予測していたでしょうか。δ株の感染力の強さは周知されていたでしょうか。今日の時点で発熱外来を受診してPCR検査で陽性が確定した人は、7月下旬にウイルスをもらった人ですよね。東京都は既に緊急事態でしたがその人たちがどれだけ感染予防をしていたかを知りたいものです。首相や都知事をいくら批判したところで、あの人達がウイルスを止めてくれるわけではないので。