Microsoft Azureの日本語版トップページのメタデータには、すごいことが書かれています。
<meta name="description" content="Microsoft Azure のオープンで柔軟なクラウド コンピューティング プラットフォームを使用すれば、目的を達成し、コストを節約し、組織の効率を向上させることができます。" />
これを初めて見たのはBingで検索したときですが、目を疑いました。Azureのプラットフォームを使えば目的を達成できる。魔法のサービスですか。
「~すれば」については、以前も取り上げましたが(「すれば」と「すると」の違い - IT翻訳者の疑問 (hatenablog.com))、何かを実現するための条件に焦点がある場合の文型ですよね。ということは、「目的を達成し、コストを節約し、組織の効率を向上させる」には「Microsoft Azureのオープンで柔軟なクラウド コンピューティング プラットフォームを使用するだけでよい」ということになります。そこまで強く言ってしまって本当に大丈夫でしょうか。Azureを使ったけれど目的を達成できなかった、と訴えられたりすることはないのでしょうか。
英語版を見てみましょう。
<meta name="description" content="Invent with purpose, realize cost savings, and make your organization more efficient with Microsoft Azure’s open and flexible cloud computing platform." />
日本語版の「目的を達成し」に相当するフレーズは見当たらないのですが、「Invent with purpose」はページの先頭に出現する例のテキストと同じですね。Microsoft Azureのopen and flexible cloud computing platformを使ってInvent with purpose, realize cost savings, and make your organization more efficientしましょうというテキストが、なぜ日本語だと「~すれば、~できます」になってしまうのか。
ソフトウェアの操作説明だったら、「ExcelでSUM関数を使用すると合計を計算できます」のようなテキストは頻出しますが、計算できるのは事実だし、誰がやってもそうなるから問題ありませんよね。しかし、「目的を達成する」や「組織の効率を向上させる」というレベルの話だと、ツールを使ったからすぐできるというものでもありませんので、もうちょっと慎重に表現を選ぶ必要があるかと思います。